なぜそうなるか
「試験で出た期限より短く」の中身は安全係数でした——国のガイドラインは「1に近づけることが望ましい」と書いています
袋の日付は、試験で出た期限より手前に引かれている。では、どれくらい手前でしょうか。
国のガイドラインに、その仕組みの名前と考え方が書かれていました。
安全係数といいます♪
安全係数とは何か
どれくらい短く設定されているのですか?
数字は示されていません。「1に近づけることが望ましい」と書かれています。
ガイドラインから、定義の部分をそのまま引きます。
かけ算の形と、引き算の形の2つが挙げられています。一般的には、客観的な項目(指標)及び基準から得られた期限に対して、食品の特性に応じ1未満の係数(安全係数)をかける、又は得られた期限から特定の時間や日数を差し引く等により、期限を設定する。
「1に近づけることが望ましい」
ここが、この文書でいちばん向きのはっきりした一文です。
係数は1へ、差し引く日数は0へ。つまり「短くしすぎない方向」です。その際、食品の特性等によるが、安全係数は1に近づけること、また、差し引く時間や日数は0に近づけることが望ましい。
考慮しなくてよい食品もあります
加圧加熱殺菌しているレトルトパウチ食品や缶詰の食品等、個々の食品の品質のばらつき等の変動が少なく、客観的な項目(指標)及び基準から得られた期限で安全性が十分に担保されている食品については、安全係数を考慮する必要はないと考える。
逆に、必要だとされる側も書かれています。
しかしながら、微生物が増殖する可能性や品質のばらつき等の変動が大きいと考えられる食品には、その特性等に応じて安全係数を設定する必要がある。
読んで分かったことと、分からないままのこと
この文書を読む前、当サイトは「試験で出た期限より短く設定している」という東京都の説明までを持っていました。その仕組みに名前があることも、方向に指針があることも知りませんでした。
分かったのは、短くする操作に安全係数という名前があること、そしていまのガイドラインがその係数を1へ近づける方向を望ましいとしていることです。
分からないままなのは、個々の食品で実際にいくつが使われているかです。ガイドラインは数字を示しておらず、食品の特性に応じて表示責任者が自ら考えて行うことが期待される、という書き方をしています。
つまり袋の日付を見ても、どれだけ余裕があるかは読み取れません。余裕が大きい食品もあれば、レトルトのように考慮していない食品もあることになります。
当方がここで書けるのは、そういう仕組みが在るという事実までです。手元の食品について何日という話にはなりません。
そして、ガイドラインが1へ近づけるのを望ましいとしているということは、これから作られる食品の期限は、以前より実際の限界に近づいていく可能性があります。余裕が減る方向です。
期限を過ぎた食品についても書かれています
定められた方法により保存された場合、賞味期限を表示した食品は、期限を過ぎても必ずしもすぐに食べられなくなるわけではない。
・安全係数=1未満の係数をかけるか日数を差し引く操作
・ガイドラインは「1に近づけること」「差し引く日数は0に近づけること」が望ましいとしている
・具体的な数字は示されていない(「0.8」は36ページに1回も出てこない)
・レトルトパウチ食品や缶詰は考慮する必要がないとされている
・出したのは消費者庁 食品表示課・令和7年3月
あわせて消費期限を決めているのは国ではありませんと「2026.9」だけの賞味期限は、その月の何日までかもどうぞ。
よくある質問
安全係数は0.8だと聞いたことがあります
この版には書かれていません。当方が全36ページを機械で数えて、「0.8」が0回であることを確かめました。書かれているのは「1に近づけることが望ましい」です。
缶詰は余裕が無いということですか
「安全係数を考慮する必要はない」とされています。品質のばらつきが少なく、得られた期限で安全性が十分に担保されているから、という理由が書かれています。
どの食品にいくつ使われているか調べられますか
ガイドラインからは分かりません。表示責任者が食品の特性に応じて自ら考えて行うことが期待される、という書き方です。
出典
- 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月・消費者庁 食品表示課) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_30.pdf (安全係数の定義/1に近づけることが望ましいこと/考慮不要な食品と必要な食品/期限を過ぎた場合の記述)